ぱぱハート

2児のパパの子育て日記。

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『かいけつゾロリのなぞのうちゅうじん』 地球の片隅で宇宙を想う

子どもの頃は,世界がこんなに広いなんて思ってもいませんでした。

 

自宅と幼稚園,友達や祖父母の家,それに近所の公園がぼくの世界の全てでした。

それが,小学校に上がりもっともっと広い「社会」を知りました。旅行に行くようにもなりました。学校の授業で,日本や世界を知りました。自分たちと違う言語,文化を持つ人々がいることを教わりました。アマゾンや深海など,まだまだ謎に包まれている場所があることを学びました。

 

さらに,それらはすべて地球という一つの惑星の話だというのです。地球は太陽系に存在する複数の惑星のうちの一つにすぎない,と。

あまりにもスケールの大きい話に,ぽかんとしてしまいます。夜空に浮かぶ数えきれないほどの星々は,その一つ一つが実際には大きな恒星です。宇宙は広い。自分が,人間が,ちっぽけな存在に思えたことを覚えています。

 

こんなに広い宇宙には,まだぼくたちの知らないことが山のようにあるのでしょう。地球と同じような星もあるかもしれません。そこには,人間のような生き物が暮らしているかもしれません。

 

かいけつゾロリのなぞのうちゅうじん

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感想(10件)

  • 作 者  原ゆたか
  • 出版社  ポプラ社
  • 出版年  1992年
  • ページ数 85ページ
  • 対象年齢 6~8歳

シリーズ11作目となる本作は,とうとうその舞台を宇宙へと移します。

 

野宿をしていったノシシのあたまと,イモ畑に現れたミステリーサークル。警戒するゾロリをよそに,サツマイモに夢中になっていたノシシはUFOにさらわれてしまいます。

残されたゾロリとイシシは,ノシシを救出するために宇宙へと飛び出します。発明,ピンチ,ロマンス,おなら。ゾロリらしさが詰め込まれた一作です。

 

目を引くのはゾロリの勇敢な姿です。

目の前でUFOに連れ去られたノシシを救うため,ゾロリは迷うことなく宇宙へと向かいます。さらに,地球の命運を懸けた戦いにも果敢に挑みます。仲間思いで行動力があり,勇ましいゾロリ。その魅力は宇宙人にも伝わるほどのものです。

 

作中には,ゾロリによるミステリーサークルについての説明と考察が書かれています。超常現象についてのいくつかの説。ゾロリによるその解説は,きっと読んだ子どもたちの心に残るでしょう。これがためになる知識かどうかはともかくとして。

 

ミステリーサークルの正体についてはいくつか説がある,とゾロリは解説します。宇宙人によるものであるという説,人為的なものであるという説,自然現象によるものであるという説など。一番ロマンがあるのは,やはり宇宙人によるものだとする説でしょうね。

 

ミステリーサークルは1980年代頃から,イギリスを中心に世界中で発見されました。その発生原因が謎であるとして話題になり,研究や検証が進められました。

ですがその後,自らがミステリーサークルの製作者である,と名乗り出た人がおり,ミステリーサークルは人為的に作られたものであると結論付けられています。ミステリーサークルを作成した当事者としては,結局のところ話題作りが目的だったようです。まんまと世界中が嵌ってしまったわけです。

ただし,人工的にミステリーサークルが作られたとしたら説明がつかない部分がある,と他の説を主張する人も,いまでも一定数いるようです。

 

まあ,あんなに派手派手なものを宇宙人が作っていくとは考えにくいですよね。自分たち自身が地球人に見つかっていないのだから,痕跡は消して,こっそり帰っていく方が自然です。宇宙人が余程のかまってちゃんでもない限り。

 

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SNSが発達していない時代に,世界中で話題になったミステリーサークル。それが初めて発見されたときの衝撃は,余程の物だったのでしょう。多くの国や研究機関がお金をかけ,知識を動員してその発生原因の真相を探りました。

ところが,その実態は人工的に作られたもの。その真実を知った時,当時ミステリーサークルに熱を上げていた人たちの落胆はどれほどのものだったでしょうか。

 

知らない方が幸せな真実,というのは世の中に溢れかえっています。ミステリーサークルが謎に包まれたものであったとき,人々はその発生原因に夢を膨らませ,想像力を掻き立てられました。しかし,現実はそれほどロマンチックなものではありませんでした。

 

宇宙人はどうでしょうか。いるかいないかわからない,とされているいまだからこそ,人々は宇宙人に夢を重ねられているように思います。でも,実際に宇宙人が見つかり,やり取りができるようになったらどうなるでしょうか。

地球人は,もっと宇宙人を知ろうとするでしょう。おそらく,残酷な方法で。可能なら,捕えて実験したり解剖したりすることが試みられるのではないでしょうか。宇宙人といい関係を築くために政治的なやり取りもされるでしょう。場合によっては戦わなくてはいけなくなるかもしれません。

 

宇宙人というロマンが「リアル」に引きずり降ろされたとき,そこに待っているのは無味乾燥な現実かもしれません。

宇宙人の存在について知りたいという気持ちはありますが,一方で夢は夢のままにしておいた方が幸せなこともあるよな,とも思ったりします。

 

子どもたちのリアクション

小学1年生の長男は,きっと宇宙人はいるのだろうと考えているようです。しかも,火星に。

思えば,彼の周りには火星人が描かれているものが既にいくつか存在します。しかも決まって,タコのような造詣の。

そういえばUFOも様々な作品に出てきますが,どれも似通ったデザインをしています。本作に出てきたものも,バイキンマンが乗っているものも,なぜか土星のような形をしており,逆にロケットのような外形のものはお目にかかりません。

何を見ても同じデザインで描かれているのであれば,どこかにそれが実在するのではないかと考えるのも当然な気がします。

 

長男に,宇宙人がいたらどうするかを聞いてみたところ,「どうもしない」という答えが返ってきました。宇宙人は,少し怖い存在として捉えられているようです。どうしたらいいかわからないから,どうもしない,と。

わからないから,怖い。知らないから,不安になる。当然です。ゾロリのように,宇宙でも自分を貫けたら

 

地球人はどんどん宇宙での行動範囲を広げ,観測できる距離を伸ばしています。ぼくたちと宇宙との距離は,確実に縮まっています。いつか子どもたちは,宇宙人の存在を現実に知る日を迎えるのでしょうか。その日が来たら,彼らはどのように振る舞い,どんな関係を築くのでしょうか。なんだか楽しみなような,やっぱり少し怖いような。

想像は尽きません。

 

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