『ノラネコぐんだん アイスのくに』 みんなでやれば,どんなことでも楽しめる!
うるさい。うるさすぎる。
小学1年生の長男と3歳の次男が止まりません。
キャーキャーワーワー叫ぶように大きな声を上げ,狭い家の中を走り回り,どったんばったんやっています。こうも毎日暴れ回られると,さすがにこちらも耐えられません。
2人での遊びが楽しければ楽しくなるほど,歯止めが効かなくなります。興奮し,調子に乗るのはどちらかと言うと長男の方で,親からのカミナリが落ちるまでハイテンションで叫びまわります。
喧嘩しないで仲良く遊びなさい!と言ったのは確かにこちらなのですが,こうもうるさくされては適いません。喧嘩をしていても仲良く遊んでいてもどちらでも叱られるなんて,子ども側からしたら理不尽なんでしょうが,もう少し落ち着いてほしいものです。
遊んでいて興奮するのは,2人いるからなんでしょうね。1人ではきっとこうはならないのでしょう。一人遊びをしているときはもっと静かですもん。
一方の「楽」がもう一方に伝播し,かけ合わさって増長していく。今日も我が子は2人で叫びながら遊んでいます。うるさい。
兄弟の仲がいいのはよいことなのですがね。
ノラネコぐんだんアイスのくに
- 作 者 工藤ノリコ
- 出版社 白泉社
- 出版年 2017年
- ページ数 32ページ
- 対象年齢 3~5歳
アイスクリームパーラーのアイスを見て,我慢ができなくなってしまったノラネコぐんだん。アイスの大きな容器に隠れてトラックに忍び込み,アイスの国へとやってきます。そこでノラネコぐんだんは大冒険を繰り広げるのですが・・・
ノラネコぐんだんシリーズは,8匹の黄色い猫たちが気の向くままに駆け回り,トラブルを巻き起こす人気作です。ノラネコぐんだん展が催されたり,期間限定ではありますがノラネコぐんだんCAFE,ノラネコぐんだんSHOPなども開かれています。
本作でノラネコぐんだんは,アイスが美味しそう。アイスが食べたい,という理由で気ままに動き回り,大騒動を巻き起こします。ノラネコぐんだんの動きは本能に忠実というか,非常に短絡的です。その行動原理は程度の差こそあれど,子どもたちの行動とも重なる部分があるような気がします。ノラネコぐんだんほどになると,悪ガキと呼べるレベルですが。
ノラネコぐんだんの魅力の一つは,とにかく彼らが楽しそうなことではないでしょうか。いたずらをするときも,そうでないときも,いつでもノラネコぐんだんは一生懸命です。その動きはワチャワチャとしていて,とてもにぎやか。
みんなで一緒に,というのがポイントなのかもしれません。並んでお茶を飲んでいるだけでも,8匹並んでそうしているとなんだか楽しそうに見えてきますからね。同じポーズがばっちりそろっていたり,見事な連携を見せたり。いつでも一緒のノラネコぐんだんは,きっと仲がいいのでしょう。
一人でやっても全然おもしろくないのに,みんなでやるとおもしろい。一人でしたときは大して楽しくなかったことが,みんなでするととっても楽しい。子どもでも大人でも,そういうことはいくつもあるものですよね。何気ないことが,友人や家族の存在によってかけがえのない体験に変わったりします。
ただし,これはいいことに限ったものではありません。調子に乗ったり,いたずらをしたりするときも,一人でするよりもみんなでした方がスケールは大きくなり,厄介なものになってしまいます。兄弟ですら結託されると親の手に負えなくなるのに,これが10人規模で行われたらたまったもんじゃありません。
本作のノラネコぐんだんも,まさにそのような感じで。
そして,悪いことをした後に当然待っているもの。
ノラネコぐんだんシリーズではお決まりとなっている展開ですが,その姿すら愛らしく見えてくるのは,まさに彼らが「ぐんだん」だからではないでしょうか。みんなで楽しんで,みんなでやらかして,みんなで怒られ反省する。それもまたいい思い出ってことで。
みんながいるからできること。みんなでしたからこそ楽しかったこと。
そういった経験を,この作品を読んだ子どもたちにはどんどん積み重ねていってほしいなと思います。
子どもたちのリアクション
長男は4歳の時に,保育園の発表会でノラネコぐんだんの劇をやりました。黄色い猫の仮装をして,みんなで決められた動きをする,というものでした。
本物のノラネコぐんだんのように一糸乱れぬ,と言えるほど息の合った動きではありませんでしたが,ノラネコたちに扮し一生懸命決められた動きで様々なことを表現しようとしている子どもたちはとても愛らしく見えました。
当時の長男も,現在3歳の次男も,ノラネコぐんだんが大好きです。その理由は,ノラネコぐんだんがとにかくかわいいから,とのことでした。
ノラネコぐんだんのねこたちは,いつもとぼけた感じの表情をしています。なんとも言えない渋い顔立ちで,基本的にはあまり表情を変えずに動き回ります。
愛らしい顔立ちで,えげつない悪さをする。うん,どこかで見たことがある気がします。
我が家のぐんだん構成員たちは,寝ているときなんかはとってもかわいいんですけどねえ。