ぱぱハート

2児のパパの子育て日記。

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『かいけつゾロリのママだーいすき』 母から息子への愛情のバトン

子を想う親の愛は,どの程度子どもに伝わっているのでしょうか。

 

これまで,二人の子どもたちには様々な形で大切な想いを伝えてきました。

好きだ。大事だ。どんなときも,パパとママは君たちの味方だ。

 

二人の子どもたちが,ぼくたち夫婦にとってかけがえのない存在であるということを,行動や態度で,時には言葉にすることで表現してきました。

 

でも実際のところ,この気持ちのうち,何割が子どもたちに届いているのかはわかりません。

 

自分のことを思い返してみても,「自分はなんて両親から想われているんだろう」なんて考えたことは一度もありません。当然のように親がいて,当然のように守ってくれている。いつもそこにあるからこそ安心できるものの,だからこそ特別な気持ちを抱くことはありませんでした。

 

ただ,いま思えばじぶんは 両親に大事に育てられたのだろうなと思います。たぶん。

だからこそ,親が元気でいるうちに少しでも恩返しをしたいと思うし,また子どもたちを大切にすることもできるのでしょう。

 

人が人を想う気持ちが,バトンのように繋がっていく。こんなに素敵なことってないですよね。

 

先ほどから恥ずかしいことを書き連ねているせいでムズムズしています。

 

かいけつゾロリのママだーいすき

 

かいけつゾロリのママだーいすき (かいけつゾロリシリーズ) [ 原ゆたか ]

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感想(7件)

  • 作 者  原ゆたか
  • 出版社  ポプラ社
  • 出版年  1991年
  • ページ数 85ページ
  • 対象年齢 6~8歳

シリーズ9作目となる本作は,ちょっぴり切ないお話しです。

 

ゾロリが幼いときに,息子を残して亡くなったママ。今日はそのママの誕生日なのだと,ゾロリは感傷に浸っています。

 

表紙の内側のページには,幼少期のゾロリと亡き母との思い出の写真が並びます。誕生日を祝ってもらう姿,おねしょを叱られる姿,けんかで負けたことを慰めてもらう姿などがそこには収められています。どれもありきたりなシーンではあるけれど,どれもかけがえのない一瞬を切り取った貴重な写真です。

 

本作では明かされていませんが,ゾロリの父は,ゾロリが3歳のときから行方不明ということになっています。ゾロリのママは,それ以降ずっとワンオペで息子を育ててきたのでしょうか。

 

二人だけの家族ではあるけれど,その過程には愛が満ちていたのだろうということが,写真から伝わってきます。たった一人の家族であるママを失ったとき,ゾロリを襲った悲しみの深さはどれほどのものだったのでしょうか。想像するだけで胸が締め付けられる思いです。

 

感傷に浸るゾロリたちのもとに,1台の乳母車が急な坂道を滑るように走ってきます。一直線に川へと向かう乳母車にはキツネの赤ちゃんが。そして,それを追ってキツネのお母さんが走ってきます。ゾロリはキツネの親子に自らの昔の姿を重ね,赤ちゃんを救うことを約束します。

 

ゾロリといえば,私利私欲のためにいたずらの限りを尽くす「悪役」としての側面の強いキャラクターです。お話にもよりますが,純然たる正義のヒーローは,黒ひょうのアーサーであったり,警察官であったりと,ゾロリの敵として描かれる他のキャラクターたちです。

 

しかし,ゾロリは完全なる「悪」ではなく,時として義理,愛,人情に満ちた心優しい一面を見せることがあります。

ルパン三世が誰かを守るために自分の能力を使ったり,あるいは剛田武さんが劇場版のお話の中では心の友を想う勇敢な小学生になったり。普段「悪役」のカテゴリに分類されがちなキャラクターたちが時折見せるそうした一面は,ひときわ明るい輝きを放つように思います。ギャップ効果,ズルいですね。

 

本作のラストでゾロリが見せる漢気は,誰にでもマネできるようなものではありません。亡き母に注がれた愛情が,間違いなくゾロリの心に届いていたこと。そして今度はゾロリがその愛情を他の誰かに向けて発揮できる大人に成長したことが垣間見られる,特別なシーンです。愛情のバトンは,確かに繋がっています。

 

本作では,最後までかいけつゾロリの姿に変身することはありません。普段のキツネの姿のままではありますが,ゾロリが見せたかっこよさが,この本を読む子どもたちの心に響くことを願います。ゾロリは,おならだけじゃないんだぞ,と。

 

子どもたちのリアクション

小学1年生の長男は,とにかくキツネの赤ちゃんの心配をしていたようです。一難去ってまた一難。そのトラブルメイカーっぷりはゾロリたちも目を見張るほどです。長男としては,この子が今後,安全に健やかに育っていけるのかが気になったようです。キミも大して変わらんよ。というぼくの心の声が出かかりましたが。

 

ママを失っているゾロリの教具や気持ちについてはどう思っているのかも聞いてみたいところでしたが,そのことについて質問するのは控えました。ゾロリのように,いつか母との別れが来るという事実。そのことを長男に突き付け,不安にさせる必要はありません。親との時間をかけがえのないものだと捉えるなんて,小学生には難しいでしょうし。それに,我が家のママにはこれからもバリバリやっていってもらう予定ですしね。

 

父親から見て,息子と母親との関係は特別なものであるように感じられます。同性である父親に対しては見栄や照れがあっても,母親に対しては何の迷いもなく飛び込んでいけるようです。甘えたり,わがままを言ったりしても,優しく受け容れてくれる。そんな包まれているような安心感が母と接する息子たちの様子から見てとれます。

我が家の子どもたちも,いつか母から受けた愛情のバトンを他の人につないで行ってくれたら。そんな風に思います。

 

なんか,いいですね。特別な母子関係。

なんだか父親は蚊帳の外ですよ。ちょっとだけ,妬いています。

 

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